考える技術・書く技術 ―問題解決力を伸ばすピラミッド原則 バーバラ・ミント [006]
- 作者: バーバラミント,Barbara Minto,山崎康司
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1999/03/01
- メディア: 単行本
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今回は『考える技術・書く技術』を紹介します。
この本の著者、バーバラ・ミント氏は、コンサルティング会社のマッキンゼーで、ヨーロッパのレポート作成指導責任者を勤めた方です。その後は独立して、世界の主要コンサルティング会社や、一般的に一流と言われる企業でライティングの講師を行っているそうです。
著者の経歴とこの本のタイトルが示す通り、本書は、いかに分かりやすく考え、書くかについて書かれています。著者が終始訴え続けているメッセージを要約すると、「考えること」、「書くこと」の肝要は「分かりやすさ」であり、それは相手の立場、人間の思考プロセスにあわせる必要があるということです。
以前、大学の講座で、ロジカルシンキングの勉強をしていましたが、その時に講師の方から、「ロジカルシンキングは分かりやすく相手に伝える技術だ」と言われたことがあります。なぜ「分かりやすさ」がキーワードになるのか、特に本書を読むとすんなり理解できました。書くことの前提には、相手に理解してもらうことが必要あり、そのためには、自身の考えを明確にまとめておく必要があるということだと解釈しました。
さて、本書では、分かりやすい論理構造の構成方法と、その表現の仕方が参考になりました。それは、
1.導入部分はストーリー形式で表現する必要があること。それは、a.状況、b.複雑化、c.疑問、そしてd.回答(メッセージ)の組み合わせであること。
2.ロジックは一つの「メッセージ」を頂点としたピラミッド構造で表現することが望ましい。また、基本的にはピラミッドの下部の論理構造は帰納法で表現されるべきであり、演繹法は最下部の要素のみにとどめるべきである。
3.ピラミッド構造の上下関係は、MECE{(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)=漏れなく、ダブりなく}の形で関連付ける方が望ましい。
4.この構造を文章で書く際には、ピラミッドの上部から順に下部の内容を漏れなく要約する、「白紙の主張」(ex.3つの問題…など)は避けるべきだ。
という4点に要約されます。
この他に、第Ⅲ部「問題解決の技術」と第Ⅳ部「表現の技術」で問題解決と表現方法についても書かれていますが、他の書籍の方が詳細に書かれているので、後半の2部は若干物足りなかったです。ですが、第Ⅰ,Ⅱ部「書く技術」「考える技術」は、他の書であまり書かれていないこと、もしくは書かれていても分かりづらい表現であることが多かったため、簡潔に考える方法を理解するのにかなり役立ちました。
この本の内容をきちんと消化して、自身の血肉にできるよう、これから毎日一回は何か論理構造をまとめる練習をしていきたいと思います。